地方都市の中心市街地の、そのすぐ近くにある山。
眺めが良くアクセスも良いその山は、しばしば行楽地として活用されてきました。昭和の時代には山の上に、遊園地や動物園などが次々と造られました。
1966年。
姫路市の手柄山で、姫路大博覧会が開催されます。
これを機にこの場所は、娯楽施設、文化施設、さらにはアクセス手段としてモノレールが建設され、夢の行楽地へと大きく変貌を遂げたのです。
姫路モノレール
新幹線に乗って姫路駅に到着しました。
人口50万人を誇る姫路市。綺麗に整備された駅前広場と、中心市街地のビル群とその奥にそびえる姫路城は、あまりにも美しく整えられた景観です。
その一方で、長い歴史を抱えた都市には、必ずどこかに美しくない部分があります。
表玄関とも言える姫路城口(北口)を出て少し歩くと、いかにも古そうな建物とコンクリート造りの橋脚が姿を表します。
この橋脚こそが、1974年の休止以来ずっと残っている、姫路モノレールの遺構なのです。
姫路駅から終点の手柄山までは1.6km。廃線跡をたどりながら歩きます。
1966年の開業から営業期間はわずか8年、実際に営業していた時間よりも、廃墟の橋脚として放置されていた時間のほうが、圧倒的に長いのです。
そんな廃線跡も、近年では解体工事が進められています。街中に佇むコンクリートの塊ももうすぐ見納めです。
姫路市文化センター
街中を歩き続けると、目の前に緑の山と巨大な建物が見えてきました。姫路市の文化施設、娯楽施設が集まる”手柄山”に到着です。
巨大な建物の正体は「姫路市文化センター」。1972年開業の多目的ホール施設です。
ところがこの建物は、訪問の2,3ヶ月前に閉館してしまいました。現在は、姫路駅近くの再開発エリアへ移転し、新たなコンベンション施設として生まれ変わっています。
このようにかつて手柄山にあった市の文化施設は、老朽化による建て替えを機に、アクセスの良い駅前や街中に移転しているのです。
姫路市立水族館
かつては遊園地、プール、回転展望台などの娯楽施設があった手柄山ですが、現在では植物園と水族館が残るのみです。
この日は休日ということもあり、家族連れが多く、行楽地ならではの華やかな雰囲気を感じることができました。
通路を通って水族館の入口へと向かうと、再びモノレールと遭遇しました。
手柄山交流ステーション
入口に描かれたモノレールの絵は、まさにこの場所にモノレールが通っていたことを表しています。
モノレールの廃線跡を辿ってきて最後に到着したこの場所こそが、現在では水族館の一部、モノレールの博物館として活用されている「手柄山交流ステーション」です。
1階は水族館の入口となっており、2階へ上がると
現役時代の車両が展示されていました。