手柄山 モノレールの夢と昭和の行楽地

館内では、開業当時の駅の雰囲気が再現されています。

入場料は無料で、この日は電車が好きな子供や、当時を懐かしむお年寄りで賑わっていました。

近未来的なイメージの強いモノレールですが、車両はもちろん1960年代製です。車内には昔ながらのボックス席が並んでおり、席に座って当時の映像を眺めれば、昭和の鉄道旅行を追体験できます。

1966年の姫路大博覧会に合わせて開業したモノレール。初年度は会場のメインアクセス手段として活躍しますが、計画では都市内交通手段を担う環状路線として、さらには日本海側を結ぶ都市間交通手段として考えられており、手柄山までの路線はその最初の一歩に過ぎなかったのです。

ところが、開業翌年から利用が低迷します。

距離の短さ、運賃の高さから赤字が続き、1974年には営業休止、そして1979年に正式に廃止、延伸の夢は消えました。

空を走る電車、未来の交通手段として期待されたモノレール。特に姫路モノレールで採用されたロッキード式は、高速運転が可能な先進的なものでしたが、結局モノレールが都市間交通手段のスタンダードになることはなく、ロッキード式も国内から姿を消しています。

手柄山交流ステーションの裏手に出ると、実はこの建物、西洋のお城の形を模していたことがわかりました。

お城の中からモノレールが飛び出す光景は、さぞかしインパクトのある光景だったのでしょう。この建物も相当古いはずですが、館内は綺麗に整備されており、古さはあまり感じませんでした。


回転展望台 手柄ポート

山の方を見ると、変わった形の建物が見えました。

姫路大博覧会のテーマ塔として建てられた、手柄ポートです。

近未来的なデザインも特徴的ですが、一番の売りは展望台部分が回転する”回転展望台”です。

長年喫茶店として営業を続けておりましたが、2018年に閉業し、現在では建物だけが残ります。


ひめじ手柄山遊園

手柄山交流ステーションのすぐ近くに、観覧車のゴンドラが置いてありました。

2020年に閉業した、ひめじ手柄山遊園で使われていたものです。

この遊園地もまた、姫路大博覧会の跡地や施設を活用して造られたものでした。

1974年に開業し、全盛期には隣接の市民プールと合わせ大いに賑わいました。しかしその後、少子化やレジャーの多様化により入園者数が激減。施設の老朽化も進んだことから、惜しまれつつも閉園となりました。


短命に終わったモノレール、流出する文化施設、閉園する娯楽施設…。

しかし、終わるものがある一方で始まるものもあります。

市民プールや遊園地のあったエリアには、体育館や新たな屋内プールが造られています。球場や競技場と合わせて、今後はスポーツ施設の集積地として賑わいそうです。付近を走るJR山陽本線には、新駅の計画も進められています。

大規模な再開発も行われていますが、その一方で過去の遺構を未来に残る取り組みも行われています。その最たる例が、長年放置されていたモノレール車両を綺麗に整備し、博物館として活用した、手柄山交流ステーションでしょう。

地方都市の中心市街地の、そのすぐ近くにある山。少し時代に取り残されていた時期もあったようですが、今また大きく変わるようです。

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