浜屋百貨店 屋上プレイランド

数多くの歴史的資源・文化的資源を持つ観光都市長崎。近年では、廃墟となり長年放置されていた「軍艦島」が、産業遺産として評価され、また観光客の集客にも成功しました。

古き良きものが脚光を浴びることがあるならば、デパートの屋上もいずれ観光客を集めることがあるのでしょうか。


浜屋百貨店 屋上プレイランド

観光通り・浜町アーケード


長崎の路面電車に乗って、観光通りで下車しました。周辺は長崎随一の繁華街として栄え、多くの商業施設が集積します。

それら商業施設の核となるのが、浜屋百貨店です。メインストリートの浜町アーケードの中に店を構える、老舗デパートです。

例によって、店舗は見ずに一気に最上階へ。

”屋上広場” ”プレイランド” その先に広がるのは、

華やかなカラーの屋根に、大小様々な遊戯施設。ここはまさしくデパートの屋上遊園地、明るく楽しく賑やかな空間です。

しかしながら、ここも長年無人のまま放置された軍艦島のように、立派な施設だけが残るだけの無人の空間となっていました。

便利な立地と充実した遊戯施設を誇っていても、娯楽の多様化、少子化には抗えないのでしょうか。


さて、ここに来てからずっと気になるのが、奥のブルートレインみたいなやつ。壁と屋根で覆われた、ビニールハウスのような造りの青い建物、

中に入ると、他と同じようにアーケード型のゲーム機が置かれていました。

ところが、1つだけ大きく違うのがその”古さ”。

いわゆるレトロゲーム機というやつでしょうか。古めかしい見た目に、シンプルなギミック、そして料金はワンプレイ10円です。これだけ昔の機械が現役で動くのもすごいですが、料金が当時の物価のままというのも驚きです。

ついつい財布の紐が緩み、何プレイかして遊びました。しかし寄る年波には勝てず、機械の中でお金が詰まります。すると、どこからともなく管理人さんがやってきて、中を開けてお金を取り出してくれました。


まさか屋上プレイランドに専属のスタッフがいるとは驚きでした。客としては安心しますが、それだけレトロゲーム機の維持は大変だということでしょう。

広場では、子供向けの小さい車に乗って遊べます。どうやらこれが、この遊園地のメインアトラクションのようです。

そもそもデパートの屋上遊園地は、子供のための施設です。私も何箇所か訪れてきましたが、アトラクションは子供向けのもののため、実際に遊ぶことはできませんでした。

しかしながら、ここのレトロゲーム機は、大人も遊んで楽しめます。

古いものを求めて長崎にやってきた観光客が、全国でも数少ないレトロゲーム機で遊んで、昭和の娯楽を体験する。わざわざ船に乗って廃墟の島に行く人が大勢いるわけですから、ここだって人を集められる気がしてならないのです。


もし浜屋百貨店の屋上プレイランドが観光客で賑わいだしたら、それはそれで違うものになってしまうのかも知れません。

しかし現状は、遊戯施設の少ない売上に対して、維持費、運営費、スタッフの人件費等が多くのしかかっている状態です。

価値ある空間を残すためには、利用されることが必要です。利用されるためには、多くの人に知られることが必要で、そのためにはこうした草の根レベルでの発信が重要なのでしょう。

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